第4回(2014年) 富澤基金による研究助成の審査経過・結果報告

基金運営委員会委員長 山本正幸

 「日本分子生物学会若手研究助成富澤純一・桂子基金」による第四回研究助成の最終審査を5月10日に行い、4名の方々に助成を決定いたしました。応募者は88名、お名前からの推定で男性66名、女性22名でした。書面審査により10名の方をヒアリングにお招きしましたが、1名の方は別途研究費が得られたとの理由で辞退され、9名の方の研究内容を伺った結果、助成対象者として男性2名女性2名を選びました。
 過去の審査と同様に、審査過程で性別に配慮することはなく、また特定の立場を優先したということもありません。当基金の目的とするところは、分子生物学、あるいはさらに広く生命科学の新しい展開を目指す研究を志しながらも、研究費の欠乏や生活上の制約のために十分に力を発揮できていない若手研究者に、使途を限定しない助成を行って、研究の発展を可能にさせることです。したがって、研究内容が高度な提案であっても、他の研究資金でその大半は実行可能というような場合には、助成の必要度は低いと判定される傾向にあります。
 審査過程では応募者が日本分子生物学会会員か否かは非開示でしたが、結果的には3名が会員でした。ヒアリングを行った9名の方(男性5名女性4名)については6名が会員、3名が非会員でした。
 基金運営委員会および分子生物学会事務局では、使途を限らない本助成の特色を活用した、創意に富んだ研究推進提案を歓迎いたします。来年度以降も優れた研究を掲げて奮ってご応募ください。

以上

「日本分子生物学会 若手研究助成 富澤純一・桂子基金」基金運営委員会
委員:山本正幸(委員長)、岡田清孝(副委員長)、阿形清和、大隅典子、近藤 滋、塩見美喜子、嶋本伸雄、谷口維紹

■第4回(2014年)日本分子生物学会 若手研究助成の助成対象者
(氏名・所属機関・研究題目)50音順

○木下奈都子(筑波大学生命環境系 /申請時の所属は The Rockefeller University)
環境ストレス下において負の因子として機能している長鎖非コードRNA、NPC60がどのように正の鍵因子であるbZIP型転写因子ABI5を制御しているのか、その分子機構の解明
Elucidating the molecular mechanism of how a functional long non-coding RNA, NPC60, down-regulate key positive factor and bZIP transcription factor, ABI5 under abiotic stress.

○濱田‐川口 典子(東北大学大学院生命科学研究科)
Btk29A非受容体型チロシンキナーゼによる卵巣腫瘍抑制機構の解明
The Analysis of the regulation of ovarian tumors by the non-receptor type tyrosine kinase Btk29A

○水本公大(Stanford University /2015年1月よりThe University of British Columbia に赴任予定)
動物の動きを規定する分子基盤の解明
Understanding the molecular basis that governs animal locomotion

○宮成悠介(自然科学研究機構 岡崎統合バイオサイエンスセンター)
核内ゲノム動態による転写制御機構の理解
Understanding of the mechanism underlying transcriptional regulation by nuclear dynamics

 

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