特定非営利活動法人 日本分子生物学会 平成31年度(第41回)通常総会記録

日 時:平成30年11月29日(木)19:15~20:15
場 所:パシフィコ横浜 会議センター3階 313+314(第7会場)
社員数(正会員+名誉会員+シニア会員+次世代教育会員):8,842名
出席者数:4,527名(本人出席30名、表決委任者4,497名)

議事内容:
 

1.定款第25条に基づき、杉本亜砂子理事長より本総会議長として荒木弘之会員が指名された。さらに定款第29条に基づき、議事録署名は、石野史敏会員(第41回年会長兼)と杉本理事長が担当することが確認された。

2.荒木議長より、定款第26条(総会の定足数)に基づき、上記表決委任者(委任状)を含めて出席4,527名となり、本総会は成立する旨報告された。

3.経過報告(事業報告)

1)理事長報告
 杉本理事長より、総会資料(2頁:2018年度事業報告)に基づき、事業活動全般と、さらに下記5点について報告が行われた。

  ①本学会創立40周年記念事業として対談企画を実施した。本学会ならびに日本の分子生物学草創期からの歴史に詳しい6名の研究者(石浜明、大石道夫、小川英行、関口睦夫、由良隆、吉田光昭の各氏〔五十音順〕)に語り手を依頼し、その弟子世代の聞き手と対談を行っていただいた。各対談には理事会執行部がファシリテーターとして参加した。各氏からは分子生物学や学会の現在・未来に向けて示唆に富んだメッセージをいただくことができた。対談は会報及び学会HPに掲載している。

  ②国際対応について
20期では19期からの申し送りであった国際対応に関する案件も集中的に検討した。2017年4月、理事長委嘱により国際化対応ワーキンググループ{第20期国際化対応WG:林茂生(座長)、石川冬木、篠原彰、菅澤薫、深川竜郎}が設置され、(1) 国際会議支援事業を継続するかどうか、(2) Cold Spring Harbor Asiaをはじめとする国際学会組織との提携の可能性について、(3) その他、学会の国際化に関すること、について検討いただいた。「第20期国際化対応ワーキンググループ答申」は、執行部(20期将来計画委員会)の確認を経て、2017年12月の定例理事会で承認され、骨子版をホームページで公開しているのでご覧いただきたい。

  ③第20期将来計画委員会提言について
執行部では前理事会からの継続案件であった年会開催方針について、詳細な検討作業を行ってきた。客観的データを集め、それを元に提言案を策定し、理事会において検討を行った。結果、2018年9月14日付にて以下3点につき承認されたことが、杉本理事長より報告された。
○第20期将来計画委員会提言「年会の開催方針について」
○年会開催ルール細目
○研究発表に関する指針
11月27日開催の20期21期合同理事会にて、年会開催ルール細目の一部修正と条文追加(年会開催の災害対応ルール)がなされ、その最終版を学会HPで公表する予定である(*本年会終了後、学会HPで公開された)。

  ④2018年から2年間、日本生態学会と連携して学際的な研究を推進する試みが行われている。第41回である本年会及び2019年の第42回福岡年会においては、日本生態学会会員が本学会会員と同等の資格で参加・発表できるものとし、また本年会の初日には両学会による合同ワークショップ・フォーラムを企画・実施した。2019年3月の第66回日本生態学会大会においても合同企画シンポジウムが予定されている。

  ⑤11月27日開催の20期21期合同理事会において、第45回(2022年)年会長を深川竜郎会員(大阪大学大学院生命機能研究科)にお願いすることが決定した。

2)庶務報告
 稲田利文庶務幹事より以下の報告が行われた。

  ①会員現況:〔2018年11月1日現在〕正会員8763名、シニア会員64名、次世代教育会員15名、学生会員4034名、賛助会員23社、総計12899名(前年11月対比、+11)

  ②生物科学学会連合:10月1日にシンポジウムが開催された。加盟する生命科学系の31団体が集まり、活動内容等を発表した。本学会からは杉本理事長が出席して報告を行った。なお同連合の次期代表には現在本学会のキャリアパス委員長を務める小林武彦氏が就任予定である。

3)編集報告
 上村匡編集幹事より『Genes to Cells』について以下の報告が行われた。

  ①本年4月より西田栄介3代目編集長が就任し、引き続き皆様に親しまれるジャーナルを目指したいとのメッセージを会員に向けて発信した。年会最終日(11月30日)の夕方に編集委員会を開催する。

  ②若手研究者を中心として新たに6名の編集委員に加わっていただくことになった。

  ③昨年、岡田清孝・近藤寿人両監事からの指摘があったことを受けて、編集委員会の運営に関する内規を作成し、11月27日の合同理事会で承認がなされた。

4)キャリアパス委員会報告
 小林武彦キャリアパス委員長より以下の報告が行われた。

  ①本年11月「第4回日本分子生物学会男女共同参画実態調査報告書」を作成した。分析結果については年会2日目のランチョンセミナーの冒頭でも報告を行った。

  ②本年8月、男女共同参画学協会連絡会への参加形態を正式加盟学会からオブザーバー学会に変更した。

  ③例年同様、本年も夏の演題登録時に発表者等の属性調査を実施した。今年は年会組織委員の働きかけもあり、シンポジウム・ワークショップのオーガナイザーと正会員の男女比率がほぼ同じ(女性が約20%)になった。

  ④今年も例年同様、年会託児室の設置・運営を行っている。

  ⑤委員会企画として、年会初日(11月28日)に「日本の基礎生命科学の源流と未来」、2日目(29日)に「研究にまつわるお金の話」と題してランチョンセミナーを開催した。

  ⑥小林委員長からの報告に関連して、監事の近藤寿人会員より、女性研究者へのアファーマティブアクションに加え、海外での研究経験者を優遇する施策に結び付けるよう学会として継続した働きかけが必要ではないかとの発言があった。本件は次期のキャリアパス委員長に申し送りがなされることとなった。

4.議事

1)平成30年度(2018年度)決算承認の件
 三浦正幸会計幹事より総会資料(3~16頁)に基づき、平成30年度活動計算書の収支について詳細報告が行われた。
 2018年10月26日、公認会計士宮城秀敏氏の会計監査を受け(総会資料の独立監査人の監査報告書を参照)、同年11月8日に岡田清孝監事、近藤寿人監事の監査を受けた。
 審議の結果、本決算は異議なく承認された。

2)平成31年度(2019年度)活動予算書承認の件
 三浦会計幹事より総会資料(18~19頁)に基づき、平成31年度活動予算書について説明が行われた。
 審議の結果、同活動予算書は異議なく承認された。
 なお、11月27日開催の合同理事会にて年会運営に際しての災害対応が検討され、来年以降の年会を対象に学会として損害保険に加入することが決定された。その保険料も本予算に計上されていることが三浦会計幹事より報告された。

3)第21期監事選任の件
 定款第14条に基づき、杉本理事長より第21期監事として小安重夫会員、町田泰則会員が推薦され、承認(選任確認)された。

5.第41回(2018年)年会長挨拶
 石野史敏第41回年会長より年会開催状況について報告が行われた。
 天候にも恵まれ、参加者数は前回単独開催した2016年会時と同様に7000名を超える見込みである(*最終の参加者数は7519名であった)。本年会では夏の演題登録の締切延長を行わなかった。その影響もあってか演題数は例年よりやや伸びなかったが、Late-Breaking Abstractsで持ち直した。
 本年会ではできるだけ分子生物学会の基本である「ディスカッションを盛り上げること」に集中し、それ以外の支出はできるだけ抑えるよう努めた。昨年同様ポスター発表を昼間にしたことは、展示会場での人の行き来もでき、出展企業からも好評である。企業ランチョンセミナーは既存のものだけでなく新規に開拓された先も含まれている。組織委員各位と年会事務局(エー・イー企画)、学会事務局の尽力に感謝したい。
 国際的な視点を意識して、本年会ではオーガナイザーの女性比率が1/3以上となるよう努めた。本年会では海外若手研究者招聘企画を復活した。また、西日本豪雨災害・北海道地震で本人または実家が被災した学生については、参加費全額免除対応を行ったことが報告された。
 最終日には佐藤優氏に講演「科学にひそむ宗教的思考の危うさ」を依頼している。本年会のテーマは「日本からオリジナリティーを発信しよう!」であるが、生物と自然との関係に関する日本人と外国人の感性の差を理解した上で日本のオリジナリティーを発信することが重要である。その鍵のひとつとなりうるのがキリスト教圏の外国人にとっての「人間中心主義」であることから、今回このようなタイトルで佐藤氏に講演をお願いした。ご期待いただきたい。

6.第42回(2019年)年会長挨拶
 佐々木裕之第42回年会長より2019年の年会開催企画案と準備状況について報告が行われた。

・会期:2019年12月3日(火)~6日(金)
・会場:福岡国際会議場、マリンメッセ福岡

 人工知能や分析・可視化技術の革新による学問分野の変貌を踏まえて、「分子生物学のネクストステージ」を基調コンセプトとした。もうひとつのコンセプトは、食の都福岡での開催ということで「大いに食べて、大いに飲んで、大いに議論しよう」である。
 国際化の一環として、すべてのシンポジウムを英語のセッションとし、海外演者を入れる。また採択されたワークショップで海外演者を招聘する場合には旅費・宿泊費の補助を行う予定である。海外演者(特にトップ研究者)の招聘を促すため、例年3月頃まで行っているワークショップ公募を本年会では2019年1月末日締切として、既にワークショップの公募を始めている。

7.第43回(2020年)年会長挨拶
 上村匡第43回年会長より2020年の年会開催企画案と準備状況について報告が行われた。

・会期:2020年12月2日(水)~4日(金)の3日間
・会場:神戸国際会議場、神戸国際展示場、神戸ポートピアホテル

 ボトムアップの基礎研究を取り巻く厳しい状況の中でも、研究テーマやアプローチの多様性が醸し出す華やかさや未来への期待を象徴する年会テーマを設定したい。
 シンポジウム・ワークショップでは若手の方の提案を積極的に取り入れ、新風を巻き起こしてもらえるよう期待したい。シンポジウム・ワークショップはすべて英語で行う方向で調整中である。また、キャリアパス委員会企画のランチョンセミナー2枠のうち1枠を年会及びHFSP(ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム)との合同企画とし、海外での研究生活と帰国後のキャリアについて考える場を設けたい。
 なお、神戸会場にはスライド視聴環境に改善の余地があると思われる部屋があり、対応策を検討中である旨報告がなされた。

8.次期理事長挨拶
 阿形清和次期理事長より挨拶があった。
 これまで国内での年会のあり方に関する議論が続き、世界を見据えた議論があまりなされてこなかった感がある。次期21期の方針としては「世界で戦う実力のある会員を増やす」ことを目指したい。具体的には、年会における英語化の推進などが挙げられる。また若い世代を育てるために、ディベート重視のセッションの検討なども考えうる。21期の執行部には2019~2022年会長全員に参画いただいたので、緊密な連携を保ちながらこのミッションに取り組んでいきたいとの表明がなされた。

9.荒木議長より閉会の挨拶があり、第41回総会が終了した。
 

上記、平成31年度通常総会の議決および確認事項を明確にするため、この議事録を作成し、議事録署名人はここに記名押印する。

平成30年11月29日

特定非営利活動法人日本分子生物学会
平成31年度通常総会

議    長  荒 木 弘 之

議事録署名人  杉 本 亜砂子

議事録署名人  石 野 史 敏