特定非営利活動法人日本分子生物学会 平成23年度(第33回)通常総会記録

日 時:平成22年12月8日(水)14:30~15:20
場 所:神戸国際会議場 3階 国際会議室(第13会場)
社員数(正会員+名誉会員):9968名
出席者数:5089名(本人出席59名、表決委任者5030名)

議事内容:
 

1.岡田清孝理事長より開会の挨拶がなされた。

2.定款第25条に基づき、岡田理事長より本総会議長として篠原 彰会員が指名された。さらに定款第29条に基づき、議事録署名人として、嶋本伸雄会員、升方久夫会員が選任された。

3.篠原議長より、定款第26条(総会の定足数)に基づき、上記表決委任者(委任状)を含めて出席5089名となり、本総会は成立する旨報告された。

4.経過報告(事業報告)

  1)理事長報告
岡田清孝理事長より、総会資料(1頁:2010年度事業報告)に基づき、事業の活動全般につき報告が行われた。

○ 科学技術予算全般への対応 昨年の事業仕分け評価から続いている科学技術予算全般への理事会対応であるが、本年6月、「学術の研究教育の転換期に当たって」と題して、会報とホームページに理事長メッセージを掲載した。9月末には、会員への緊急のお知らせとして「来年度概算要求要望枠のパブコメについて」をホームページに掲載し、同時にパブコメ対応に関しての会員一斉メール配信を行った。また、11月半ばには、日本化学会ほかとも協力し、30学会(39万会員)会長声明「日本国家存立の基盤となる高度人材育成と科学技術予算強化を求める」を発表したことが報告された。

○ 第12回(2012年)春季シンポジウムについて
12月6日開催の理事会にて、2012年の春季シンポジウムは、久保田健夫教授(山梨大学)を世話人とし、甲府で開催されることが決定した。

○ 学会創立30周年記念出版事業
今期、学術事業企画委員会(永田恭介委員長)によって、学会創立30周年記念出版事業を進めてきたが、以下3部作の編集が順調に進んでいる。“なぜなぜ生物学”については、本合同大会に印刷が間に合い、展示会場(書籍コーナー)での販売も開始されている。
●“なぜなぜ生物学”2010年12月刊行
●“分子生物学に魅せられた人々”2011年3月刊行予定
●“21世紀の分子生物学”2011年10月刊行予定

○ 将来計画検討委員会 提言について
第16期理事会においては、2期ぶりに将来計画検討委員会を発足し、いくつかの重要な課題についての検討を行ってきた。理事選挙投票率を高める問題、男女共同参画の推進(女性理事をいかに増やすか)については、既に具体的方策を実施済みである。
12月6日開催の理事会にて、昨年からの継続議案となっていた2点、(1)春季シンポジウムのあり方(あらたな国際シンポジウム企画の検討を含む)、(2)年会のあり方、について、同委員会からの最終提言が提出された。同理事会において、第16期将来計画検討委員会からの提言内容を学会員に公表するとともに、次期理事長および第17期理事会執行部への申し送り事項とすることが承認されたことの報告がなされた。提言は以下のとおりである。


2010年12月6日

第16期 将来計画検討委員会 提言

第16期将来計画検討委員会において、2009年9月、11月、12月、2010年5月の計4回の会合を持ち、検討を重ねた。本日、『第16期将来計画検討委員会 提言』を提出・報告します。

日本分子生物学会 第16期 将来計画検討委員会
山本正幸(委員長)、荒木弘之、篠原 彰、
杉本亜砂子、 水島 昇、宮園浩平
 

● 国際対応について(課題、基礎科学の現状認識 / 学会の役割.に関係して)

 提言1:あらたな国際シンポジウム企画、ならびに、春季シンポジウムのあり方について

  ・ 国際対応の一環として、今後、新しい国際シンポジウム企画を立ち上げることを提案したい。

  ・ 会期は年会前日の2日間とし、可能な限り、年会で確保している会場を融通させてもらうこととする。

  ・ 同国際シンポジウムは、年会とは独立したサテライトの位置付けとし、シンポジウムセッションとしては3つ程度(予算の目安は300万円×3テーマ)を企画し、2014年の年会より継続的に開催できることを目標にしたい。

  ・ 現行の春季シンポジウムについては、2013年以降は、理事会(理事長)からの世話人指名(依頼)ではなく、公募の形式に変えていき、またその実施も隔年開催といった選択肢もあり、新しい国際シンポジウム開催と合わせて、予算対応を図ることとしたい。

● 年会のあり方(開催形式、年会長と理事会の責任分担 等々)について

 提言2:年会のあり方について

  ・ 本学会のオリジナリティを尊重して、他学会との合同開催は2~3年に1度とし、2年連続しての合同開催は避けることが望ましい。

  ・ 合同開催を実施する場合、そのパートナーとなる学会は幅広く視野に入れるよう、配慮することとしたい。

  ・ 年会長が年会運営のための組織委員会を設置するに際して、必要に応じて(年会長から要請があった場合)、年会長所属の1施設だけでなく、全国規模の複数の施設から組織委員を人選することも可能とする。

  ・ 海外招待講演者だけではなく留学生にも配慮し、一般論として、ゆるやかな英語化を進める必要があることを、理事会ならびに今後の年会長(年会組織委員会)への申し送りとしたい。

  ・ 本委員会においては、4回の会合を開催し、年会のあり方についての議論を重ねたが、ほぼ現状追認の検討結果となった。本提言については、5年後を目処に、再検討・見直しを行うことを申し送ることとする。


○ 第35回(2012年)年会について
12月6日に開催された理事会において、第35回(2012年)年会については、阿形清和氏(京都大学)に年会長をお願いすることが決定した。

○ 第17期理事長について
2010年10月15日に開催された第17期新理事会準備会議において、小原雄治氏が第17期理事長に選出されている旨報告された。

  2)庶務報告
石野史敏庶務幹事より会員現況につき報告が行われた。
会員現況:〔2010年12月1日現在〕 名誉会員1名、正会員9967名、学生会員5346名、賛助会員36団体、総計15350名

  3)編集『Genes to Cells』報告
 上村 匡編集幹事よりGenes to Cellsの刊行状況全般につき報告がなされた。
 新たな取り組みとして、著者が所定の費用を負担することで論文掲載と同時にオープンアクセスの設定が可能なサービス「Online Open」を導入しており、現在すでに6報が採用されている。また、日本分子生物学会三菱化学奨励賞の受賞を記念し、2009年からは受賞者が総説を投稿できるようになったが、「MBSJ MCC Young Scientist Award 2009 REVIEW」と題した受賞者の総説がすでに2010年9月号に掲載されている。本年6月号からは、日本語版目次(論文タイトル)の会員メール配信と学会ホームページでの公開を開始し、最新論文へのダイレクトリンクを可能にしたことが報告された。
2011年よりGTC誌の表紙デザインが一新される予定であり、2011年 Volume 16, Issue 1,の表紙デザインがスライド発表された。会員各位においては引き続き、積極的な投稿をお願いしたい。

  4)「日本分子生物学会 若手研究助成 富澤純一・桂子 基金」の設立と若手研究助成事業について 山本正幸基金運営委員長より、このたびの富澤純一博士からの寄付のお申し出と寄付行為に至るまでのいきさつ、富澤基金設立、そして基金運営委員会発足までの経緯につき、報告がなされた。
 本研究助成金の趣旨の説明に続き、配布資料『第1回(2011年)日本分子生物学会 若手研究助成 募集のお知らせ』に基づき、第1回募集内容(助成金額、応募資格、研究助成金の使途ならびに会計処理、応募受付期間等)につき詳細説明が行われた。応募要項(ダウンロード版申請書)は、12月下旬に分子生物学会ホームページに掲載するので、助成希望の方は奮って応募されたい。

  5)第11回(2011年)春季シンポジウムについて
石野庶務幹事(平尾 敦世話人代理)より、標記シンポジウムの開催概要の報告がなされた。
 ・テーマ「分子生物学の明日-金沢シンフォニー」
 ・会 期:2011年5月25日(水)~26日(木)
 ・会 場:石川県立音楽堂(金沢市)
 本シンポジウムは、北陸地方の分子生物学に関係する研究者にできるだけ多く参加してもらうことを大きなねらいとし、ひとつの領域に偏ることなく広くテーマを設定し、各分野の最先端で活躍している研究者に講演を依頼している。金沢大学がん研究所を母体とする金沢国際がん生物学シンポジウムを組み入れ(金沢大学との共催)、海外からの研究者を招聘し、International Sessionとしてがん生物学の話題を提供する予定である。
 4月24日(日)には、金沢21世紀美術館(シアター21)にて市民公開講座を開催予定である旨報告された。

5.議 事

  1)平成22年度(2010年度)収支決算承認の件
塩見春彦会計幹事より22年度決算の収支内容につき詳細報告が行われた。本決算の監査については、以下のように報告された。
2010年11月2日、公認会計士 宮城秀敏氏の会計監査を受け(独立監査人の監査報告書を参照)、同年11月11日に、小川智子監事、吉川 寛監事の監査を受けた。
審議の結果、本決算は異議なく承認された。

  2)平成23年度(2011年度)収支予算ならびに事業計画承認の件
塩見会計幹事より23年度の収支予算案、事業計画につき説明が行われた。
審議の結果、同収支予算ならびに事業計画は異議なく承認された。

  3)第17期監事選任の件
定款第14条に基づき、岡田理事長より第17期監事として勝木元也会員、町田泰則会員が推薦され、承認(選任確認)された。

6.谷口維紹第33回年会長より、年会開催状況につき報告がなされた。
 一般演題投稿数は5385題(うちLate-breaking abstracts投稿は229題)、本日現在(12月8日)の参加者数は9588名(うち事前参加登録は7433名)となり、順調に年会運営が進んでいることが報告された(最終的に約11200名の参加者となった)。
 引き続き、第33回年会(BMB2010)の特色となった、プレナリーレクチャー、パイオニアズレクチャー、シンポジウム/ワークショップの概要につき説明がなされた。
 合同大会終了翌日の12月11日には、神戸から東京大学安田講堂に会場を移して、BMB2010市民公開講座「広がる生命科学の世界 -からだの形作りから病気の克服まで-」を開催する。司会を膳場貴子氏(TBSニュース23キャスター)に依頼し、4名のパネリストによる講演が行われる予定であるので、ぜひ市民公開講座にも参加いただきたい。

7.花岡文雄第34回年会長より、2011年の年会開催企画案につき報告がなされた。
 ・会  期:2011年12月13日(火)~16日(金)の4日間
 ・会  場:パシフィコ横浜
 ・年 会 長:花岡文雄
 ・組織委員:永田恭介(組織委員長)、
     三浦正幸(プログラム委員長)、
     菅澤 薫(財務・渉外委員長)、
     柳澤 純(運営・庶務委員長)
     プログラム委員 各分野を代表する全国の研究者42名
 第34回年会(MBSJ2011)は「基礎研究と応用研究の基軸としての分子生物学」をテーマに、「分子からヒトへ - メカニズムを知り、コントロールする -」のキャッチコピーのもとプログラムを企画していく。
 本年会組織委員会では、拡大を続ける本学会の今後の在り方を考え、科学的な成果の分かり易い発信の視点から、またますます細分化しつつある研究状況に活路を拓くなどの視点から、年会を今までのプログラムとは異なる構成で進めている。その要点は、期間中の各日で、いくつかのテーマをくくった研究集会が複数並行して進行し、それぞれは一定の完結性を持った研究集会のように運営されるというようなイメージである。テーマの単位は、例年、年会の一般演題募集時に用いられてきた次の6つの大きな項目とした。
 ●分子構造・生命情報
 ●分子・複合体の機能
 ●細胞の構造と機能
 ●発生と再生および神経科学
 ●疾患生物学
 ●分子生物学的方法論、技術
 上記の各大項目のなかで、小項目ごとにプログラム委員が配置されており、これらのプログラム委員が大項目ごとに、シンポジウム、ワークショップ、口頭発表の企画を立てていく予定である。
 シンポジウム・ワークショップは、一部プログラム委員が先導する企画もあるが、多くは従来どおり会員の提案から選抜する予定(2011年2月号会報および年会ホームページにて募集告知)であることが報告された。
 第34回年会においては、男女共同参画の実現と若手研究者の育成にも力を入れるという方針から、女性研究者や若手研究者をできるだけオーガナイザーやスピーカーに積極的に取り入れたいと考えている。さらに、前回の単独年会である32回年会を引き継ぐ形で、可能な限り英語を推奨する予定である旨、説明がなされた。

8.篠原議長より閉会の挨拶があり、第33回総会が終了した。

上記、平成23年度通常総会の議決および確認事項を明確にするため、この議事録を作成し、議事録署名人はここに記名押印する。

平成22年12月8日

特定非営利活動法人 日本分子生物学会 平成23年度通常総会

議長篠 原   彰
議事録署名人嶋 本 伸 雄
議事録署名人升 方 久 夫