特定非営利活動法人 日本分子生物学会 第22期・第23期 合同理事会記録

日 時:2022年11月29日(火)13:30~17:00

場 所:幕張メッセ 国際会議場 1階「中会議室101」

出席者:第22期
白髭克彦(22期理事長)、杉本亜砂子(22期副理事長)、水島 昇(22期副理事長/2026年会長)、上村 匡(編集幹事兼)、粂 昭苑、倉永英里奈、小林武彦(2025年会長)、小安重夫、佐々木裕之、塩見春彦、泊 幸秀、中川真一、中山潤一、仁科博史、原 英二(広報幹事兼)、東山哲也(会計幹事兼)、深川竜郎(2022年会長)、荒木弘之(監事)、石野史敏(監事)、林 茂生(2023年会長/国際化担当幹事)
印は23期継続理事)
第23期
後藤由季子(23期理事長)、阿形清和、大谷直子、岡田由紀(22期庶務幹事兼)、鐘巻将人、加納純子、木村 宏(2024年会長、22期庶務幹事兼)、胡桃坂仁志、高橋淑子、中島欽一、中山敬一、二階堂愛、三浦恭子、三浦正幸、以上34名

欠席者:第22期
一條秀憲、見學美根子、近藤 滋、斉藤典子、斎藤通紀、佐谷秀行、塩見美喜子、田中啓二、丹羽隆介、本橋ほづみ、吉田 稔、吉村昭彦、吉森 保
印は23期継続理事)
第23期
中西 真、濡木 理、柳田素子、以上16名

事務局:福田 博(記録)、金子香奈里、並木孝憲、山口恵子
 

本理事会成立について:
 岡田由紀庶務幹事より、理事31名、監事2名、年会長(幹事兼)1名が出席し、委任状15名(理事)を受理しており、本理事会は細則第4章第8条により成立する旨報告された。

議事録署名人の選任について:
 白髭克彦理事長より、議事録署名人として、粂昭苑理事と二階堂愛理事が指名され、承認された。
 

議 事:
 

1.報告事項
 

1)22期執行部報告

・理事長報告
 白髭理事長より、明日からの第45回幕張年会開催に際し、深川竜郎年会長ならびに準備に当たった年会組織委員会に対しての謝辞が述べられた。
 ホームページで公開しているとおり、11月5日開催の第23期新理事会準備会議において、後藤由季子氏が第23期理事長に選出されたことが報告された。
 続いて22期の活動全般につき報告が行われた。いまだCOVID-19感染が続いていること、ロシアによるウクライナ侵攻など、22期任期中に起こった様々な出来事やその対応をふまえ、分子生物学会にはこの規模の学会としての社会的な責任があること、生命科学と社会とのつながりを強く認識していかなければいけない時代になっていることなどが改めて示唆された。

・会員現況
 岡田庶務幹事より、2022年11月1日現在の会員数につき以下のとおり報告がなされた。

名誉会員0名
正 会 員7,972名(海外在住137含む)
シニア会員100名
次世代教育会員15名
学生会員3,683名(海外在住24含む)
賛助会員22社 
合 計11,792名(前年11月対比、-333)

(*上記以外に所定の手続きによる休会者61名あり)

 会員減の理由の1つとして、今年の年会で初めて「非会員発表カテゴリー」が新設されたことが挙げられる。また本年は本学会非会員でも生物物理学会員であれば発表が可能である。応募演題数は順調であったので、会期中の新入会手続きに期待したい。

・生物科学学会連合について
 岡田庶務幹事より11月28日に開催された生科連定例会議において、東原和成氏(東大・農)が次期(2023年1月より2年)の代表に選出されたことが報告された。
 続いて、小林武彦理事(生科連・代表)より生科連の2022年の活動状況について説明がなされた。

① DORA署名を契機に生科連HPへ加盟団体の英文学会誌を紹介するコンテンツを設置.

② 「科学技術政策に関するアンケート」
参院選の機会に、各党の科学政策に対する考えを問うアンケートを実施した.

③ 「若手研究者支援に対する調査」の実施
学振特別研究員制度など、若手研究者支援を目指して行われている主だった支援事業について、課題解決に向けたさらなる改善点などを加盟団体に調査.

④ 高等学校の生物教育における教育用語集の作成に向けた用語要望調査実施
日本学術会議が2019年に指針として示した生物重要用語集のアップデートを図る.その第一段階として、「生物基礎」で指針として示されている生物重要用語集の内容について、追加・削除・変更等が望ましい項目に関するアンケートを加盟団体に実施.

⑤ 「第4回高校生 生きもののつぶやきフォトコンテスト」
12月11日に第3回生科連公開シンポジウム「生態系と生物を活かしたカーボンニュートラル」(オンライン)を開催するので興味のある方はぜひ視聴いただきたい。

・ホームページについて
 原英二広報幹事より学会ホームページの運用状況について説明が行われた。2022年度に452件の記事を掲載した(昨年対比+59)。Facebookフォロワーは1,977(2022.11.19現在)、フォロワーは44歳以下が約6割を占めていることなどが報告された。

2)第45回(2022年)幕張年会準備状況
 深川竜郎第45回年会長より、配付資料に基づき準備状況の詳細報告がなされた。今回の年会の特色を端的に示すのがメインテーマ『分子生物アゴラ~激論コロッセオ』であり、文字通り「議論できる学会」、そして「国際化/諸外国の学会との連携」(MBSJ-ASCB-EMBO 合同企画)、「生物物理との融合/異分野融合」の3つを企画のポイントとし、老若男女、上下の区別なく議論を通じて学問を深める年会を目指した。
 一般演題投稿数はLate-breaking を含め2,581題、そのうち204演題は公募ワークショップに採択、540演題はサイエンスピッチ(ショートトーク)に採択された。一般演題数は昨年より127題増えている。
 年会収支に重要な協賛収入であるが、展示252小間、広告/HPバナー3社、バイテクセミナー(ランチョンセミナー)19枠とバイテクショートセミナー5社、その他の協賛メニューを含め、収入額は約1億2,841万円となり、コロナ前の2019年福岡年会に近いところまで回復したことが報告された。
 プログラムとしては、シンポジウム11テーマ、ワークショップ101テーマ、フォーラムが19テーマ、高校生研究発表も45題(口頭+ポスター26題、ポスターのみ19題)となり、その他の企画として以下のプログラムを準備することが出来た。

・MBSJ2022テーマソング:Negative Selectionによる「逆襲の助教」

・MBSJ-ASCB-EMBO Joint Workshop

・MBSJ special program(国際共同研究グラントやフェローシップを推進している国内外の財団/法人の方々や、国際研究雑誌の編集者を招きそれぞれの取り組みや研究支援について話していただく)

・Meet my Hero/Heroine(大学院生や博士研究員などが「憧れの先生」と直接話すことができる交流の場を設置)

・Poster Clinic by EMBO Press(EMBO Scientific PublicationsのHeadであり20年以上にわたり数々の一流ジャーナルでEditorを務めてきたBernd Pulverer博士によるポスタークリニックを実施)

・MBSJ2022 Science Pitch Award(このうち、top 1%には、EMBO awardも贈呈)

・国際化に伴い、HFSPOの協賛を受ける.

・ガイドマップの作成

 昨年に続き、本年会においても感染対策アドバイザーとして嘉糠洋陸会員(慈恵医大)に組織委員会に参画いただき、協力を得たことが報告された。続いて、本年会における感染症対策の説明がなされた。
 明日からの年会運営に際し、理事各位のご協力をお願いしたい。

3)第46回(2023年)年会準備状況
 林茂生第46回年会長より2023年の年会準備状況につき報告がなされた。

○会期:

【オンライン開催】2023年11月27日(月)~12月1日(金)の5日間
開催形式:Zoomライブ配信 + オンデマンド配信
・指定シンポジウム10企画
・公募シンポジウム30企画程度(予定)
・高校生発表
【現 地 開 催】2023年12月6日(水)~12月8日(金)の3日間
開催形式:登壇者、聴講者ともに現地参加のみ
(オンライン配信やオンライン発表の対応はなし)
・公募シンポジウム80企画程度(予定)
・フォーラム
・ポスター発表
・高校生発表

○会場:神戸ポートアイランド

○演題登録期間:2023年7月3日(月)~ 7月31日(月)※予定

○事前参加登録期間:2023年7月3日(月)~ 10月10日(火)※予定

○開催方式:オンサイト+オンライン併用

○組織委員:年会長林 茂生(理化学研究所)
組織委員長榎本秀樹(神戸大学)
プログラム委員長平谷伊智朗(理化学研究所)
組織委員岡田由紀(東京大学)、川口喬吾(理化学研究所)、
久保 郁(国立遺伝学研究所)、宮道和成(理化学研究所)

 続いて、指定シンポジウム(全10テーマ)のテーマ、オーガナイザーの説明がなされた。
 本日、第46回年会ホームページが公開され(11/30 学会ホームページからもリンク済み)、公募シンポジウム企画応募受付が開始されたので、詳細はホームページを参照されたい(締切:2023年1月31日)。幕張年会に続いて、来年も一人一演題の制限を廃止したいとの説明がなされた。
 ポスター発表については公募シンポジウムでの採択を予定、ディスカッサー制度も導入予定である。その他、一般市民にも参加いただけるアウトリーチ企画の市民公開講座など、鋭意検討中である。

4)第47回(2024年)年会準備状況
 木村宏第47回年会長より2024年の年会準備状況につき報告がなされた。

○会期:2024年11月27日(水)~29日(金)の三日間

○会場:福岡国際会議場、マリンメッセ福岡A館・B館

○組織委員:年会長木村 宏(東京工業大学)
副年会長粂 昭苑(東京工業大学)
組織委員長岩﨑博史(東京工業大学)
プログラム委員長松浦友亮(東京工業大学)
組織委員岩崎由香(慶應義塾大学/理化学研究所)、三浦恭子(熊本大学)

 開催方針について以下、詳細説明が行われた。

・全セッションをオンラインでも視聴可能とし、口頭発表演者は現地参加想定、特別な場合にはオンライン発表も可とする.

・ポスター発表について、会期前日の午後や初日の朝にオンライン発表枠を設けたい.

・ポスター発表には、現地もオンラインもディスカッサーをつける予定.

・トークは、一人一演題の制限を設けることとしたい.

・非会員でも演題投稿可能な参加登録カテゴリーについては継続して採用する.

5)第48回(2025年)年会について
 小林武彦第48回年会長より2025年の年会について報告がなされた。

○会期:2025年12月3日(水)~5日(金)

○会場:パシフィコ横浜

 2025年、2026年と2年連続の会場使用をすることで施設側と費用の値引き交渉を行った。結果、2021年(第44回横浜年会)と同額の料金体系で使用することが可能となり、横浜開催を決定した。先ずは近いうちに組織委員会を構成、具体的な準備に着手したい。

6)第49回(2026年)年会について
 水島昇第49回年会長より2026年の年会について報告がなされた。

○会期:2026年12月1日(火)~4日(金)の四日間

○会場:パシフィコ横浜

 日本生化学会大会との合同大会(BMB)を予定している。生化学会側の大会長(会頭)は本学会理事でもある胡桃坂仁志氏である。合同大会全体としてのプログラム委員長は、後藤由季子氏に引き受けていただいた。先ずは来年1月、BMB2026運営会社選定のためのプレゼン・ヒアリングの会を行う予定である。

7)理事選挙結果報告
 岡田庶務幹事(23期理事選挙管理委員長兼)より配付資料に基づき、投票期間、投票者数、投票総数等、選挙実施報告が行われた。今回、理事定員30名の20%(6名)の女性理事枠規定が運用されることなく、10名の女性理事が選出された。

8)上村匡編集幹事より配布資料に基づき学会誌『Genes to Cells』の編集報告が行われた。
 先ずポピュラリティー全般について説明がなされた。プレプリントサーバーへのアップロードや公開リポジトリでの共有など、オープンリサーチへの取り組みが加速している現状がある。また、電子ジャーナル購読料をAPC(論文処理費用)に段階的に移行する、いわゆる転換契約を導入する大学も増えつつあり、刻々と変化する学術論文を取り巻く状況、契約形態の変化にも注視していきたい。
 続いて、国内の編集委員一覧、2003年から2022年までのOnline投稿数とaccept率、2022国別投稿数、さらに7割強と推察されるpaper millと思われる国別投稿数について説明が行われた。また、この1年でIFが0.4ポイント上がっていることが報告された。
 本幕張年会展示会場にて、3年分のカバーアートタペストリーを展示しているのでぜひご覧いただきたい。引き続き、理事各位のご協力をお願いしたい。

9)各種学術賞、研究助成候補への学会推薦状況について
 泊幸秀賞推薦委員長より、2022年に本学会より推薦した各種学術賞について報告がなされた。 引き続き、一條秀憲研究助成選考委員長代理で佐々木裕之同委員より、2022年の研究助成推薦状況と結果等について報告が行われた。

10)キャリアパス委員会報告
 斉藤典子キャリアパス委員長に代わり、木村宏副委員長より配付資料に基づき委員会の活動内容が報告された。

①本年会においては以下2企画のランチタイムセミナーを開催するので、理事各位においては積極的に参加いただきたい。

1.『アカデミアからの起業』(会期初日/11月30日)

2.『研究室の働き方改革
~withコロナ時代のネクストスタンダード~』(年会2日目/12月1日)
(*2の事前アンケート(2022.8.8-29)には397名の回答を得た)

②「コロナ禍における海外学術集会参加に関するネットワーク掲示板」設置
欧米では3月頃に早くも対面学会再開の機運があったことなどから、生命科学系研究者が海外学術集会に参加する際の一助となるよう6月に学会HP上に情報交換サイトを設置した。3月下旬~8月下旬に海外の学術集会等へ参加された方から、現地事情や出入国の手続き、現地でコロナに感染した場合の措置といった体験談などを寄稿いただき、掲示板形式のデータベースとして蓄積したことが報告された。

③第45回年会における属性調査結果より、「バランスの取れた研究環境を築くために~年会における演題発表者等の属性調査~(女性比率の推移表)」のポスターが作成され、年会会期中、展示会場で掲示される。

④「女子中高生夏の学校2022(夏学2022オンライン/8月7-8日)」への学会協力
会員に公募で協力を募り、応募者の中から1チームに参加を依頼したことが報告された。
<ポスター・キャリア相談「研究者・技術者と話そう」>
「生命現象を分子レベルで理解する~あるウイルス研究者夫婦の試み」
小林美栄会員(慶應大)・小林郷介会員(都医学研)

11)研究倫理委員会報告
 中山潤一研究倫理委員長より今年の研究倫理ランチョンセミナーの内容について報告が行われた。

○研究倫理委員会企画・研究倫理ランチョンセミナー
『「論文」を情報源とした発信、全部信じて大丈夫?』

◆日時:2022年12月2日(金)11:45~12:35(50分)(年会最終日、講演形式で実施)

 近年、オープンアクセス化への流れが加速している。特に公的な研究助成によって得られた成果は、オープンアクセスによって自由にアクセスできるように公開すべきというのはもっともな意見であり、研究者、公的助成機関だけでなく、学術論文を出版する出版社が共同で取り組むことが望まれる課題である。一方、このオープンアクセス化の流れに便乗して、掲載料収入のみを目的とした粗悪雑誌が台頭するなどの問題も浮き彫りになってきた。また、プレプリントサーバを通して査読を経ていない論文が公開された場合、その内容に基づき発信された情報に対して私たちはどのように接したら良いのか、様々な課題が指摘されている。
 今回の研究倫理ランチョンセミナーでは、学術出版の多様化について講演者に話題提供をしてもらい、今後どのように論文を公開し、また公開された論文の情報に向き合うべきなのか、研究者の立場から議論する機会にしたい。
 昨年に続き、会期3日目のランチタイムに開催するので、理事会関係者においてもぜひ参加いただきたい。

◆講演「学術出版の多様化と社会における情報の取り扱い
 ―新型コロナウイルス感染症にまつわる実例から考える―」
井出和希 氏(大阪大学感染症総合教育研究拠点/ELSIセンター)
(*会員のオープンアクセスやプレプリントについての認識を把握する目的で、事前アンケート(2022.9.1~10.5)を実施、633名の回答を得た.集計結果は後日学会 HPで公開予定)

12)国際会議支援・選考委員会報告
 小林武彦国際会議支援・選考委員長より、第11回目(2023年)となる国際会議支援についての選考結果について報告された。本年の応募は3件で、選考委員会における慎重な審査を経て、理事長承認のもと、以下の会議が採択された。

≪会議名称≫
(和文)第19回毛細血管拡張性運動失調症ワークショップ2023(ATW2023)
(英文)The 19th Ataxia-Teleangiectasia Workshop 2023 (ATW2023)

開催責任者:高田穣(京都大学大学院生命科学研究科 附属放射線生物研究センター・教授)
会期:2023年3月2日(木)~5日(日)
会場:京都府立京都学・歴彩館
助成金額:80万円

≪会議名称≫
(和文)第33回国際シロイヌナズナ研究会議
(英文)33rd International Conference on Arabidopsis Research (ICAR2023)

開催責任者:関 原明(理化学研究所環境資源科学研究センター・チームリーダー)
会期:2023年6月5日(月)~9日(金)
会場:幕張メッセ・国際会議場(千葉市)
助成金額:70万円

≪会議名称≫
(和文)第36回国際哺乳類ゲノム会議
(英文)The 36th International Mammalian Genome Conference (IMGC2023)

開催責任者:城石俊彦(理化学研究所バイオリソース研究センター・センター長)
会期:2023年3月28日(火)~31日(金)
会場:つくば国際会議場(つくば市)
助成金額:50万円

 続いて小林委員長より、COVID-19の影響を受けここ数年予算を縮小していたが、次年度予算(国際会議支援事業)では助成金の総額を400万円に戻す予定であることが報告された。

13)生命科学教育(高校などへの講師派遣の状況)について
 塩見春彦担当理事より配付資料に基づき、2022年の高校などへの講師派遣の状況、および2022幕張年会における高校生研究発表会の状況(過去10回の実績と本年会の発表予定)について報告がなされた。今年は過去最大の発表演題数(口頭26演題、ポスター45演題)で、214名の参加予定者数(参加校30校)となっている。岩崎渉生命科学教育担当委員とキャリアパス委員にディスカッサーとして協力いただく予定である。
 

2.審議事項
 

1)令和4年度(2022年度)決算承認の件
 東山哲也会計幹事より令和4年度活動計算書の収支について説明がなされた。
 決算概要であるが、前期繰越正味財産額1億9,933万円に対し、次期繰越正味財産額は1億8,701万円といった約1,232万円の赤字決算(繰越金減)となった。赤字となった主たる理由は、昨年の第44回横浜年会への収支補填(年会決算への補填金は約1,348万円)である。昨年の年会は、企業協賛収入がコロナ前の6割程度(2019年福岡年会に比べ約5,200万円の減)であったことを考慮すると、年会組織委員会の努力により最終学会赤字がこの程度で終えられたことに感謝したい。
 昨年総会時の予算に比べ、赤字を縮小できた理由の1つとして、①『Genes to Cells』の出版社からの総利益折半の精算が順調であったこと(精算時の為替レートも円安であった)、②収支改善のため昨年より開始された学会本体ホームページの広告収入120万円が計上されたこと、③赤字決算となったため、租税公課(消費税支払い)が大幅に減額となったこと、などが挙げられる。続いて、事業費の内訳表に基づき、各事業科目別の収支についても詳細説明がなされた。
 本決算は本年10月28日に宮城秀敏公認会計士の監査を受け、さらに同年11月9日に荒木弘之監事、石野史敏監事による会計監査を受け、配付資料のとおりの監査報告書が提示されている。
 続いて、石野監事より11月9日に学会事務所において、荒木監事と共に会計監査を実施し、監査報告書に記載したとおり、帳簿ならびに会計証憑類は正確に整えられており、各金融機関の通帳と残高証明書をすべて確認し、同決算を認めたことが報告された。
 また決算監査報告とは別に、事務局職員のベースアップを含む職員給与規程の改定・検討を執行部の方々にはお願いしたいとの意見が提出された(*同規定の最後の改定は2014.3.23)。
 審議の結果、本決算は理事会で承認され、第45回通常総会に諮られることとなった。
 決算に関係して、出席理事の一人より流動資産(定期預金は現在5行に分けており、その合計額は1億1,600万円である)をもっと資金運用すべきであるとの意見が提出された。これについて賛否両論の意見が提出され、ハイリスク・ハイリターンの金融商品には手を出すべきではないとの意見が多数出された。現状、信託銀行との取引もあるので、事務局は投資信託の情報を集めておくこととしたい。

2)令和5年度(2023年度)活動予算書承認の件
 東山会計幹事より、令和5年度活動予算書と同活動予算・事業費の内訳について説明が行われた。
 令和5年度予算は、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響は多少残るものの、2022幕張年会収支が大きく改善方向にあり、3年ぶりの黒字予算編成となっている。
 会員数は微減であるものの会費納入率は順調であろうと見込んでいる。国際会議支援事業(対象は2023年開催の国際会議)については、支援金の総額を400万円に戻した。年会収支以外のその他の各種事業科目、管理費科目は、前年決算の実績額をふまえ、数字を反映させている。Genes to Cellsの出版収入は為替レートの予想が難しいが、利益折半1,700万円+定額編集補助100万円の計1,800万円を見込んだことが説明された。
 今回あらたに、事業費の内訳科目:年会その他のところで、「WiSJ・EMBO企画開催助成」として50万円の申請があり、次年度予算に繰り入れたので、合わせて検討いただきたい。
 続いて、岡田庶務幹事より配付資料(助成金申請書の発信者は次の4氏:岡田由紀(東大)、斉藤典子(がん研)、平谷伊智朗(理研)、木村宏(東工大))に基づき説明がなされた。Women in Science Japan(WiSJ)の活動概況説明に続き、2022年度は第45回幕張年会のサテライトシンポジウムとして下記の活動を行うことが報告された。

(1)EMBO Laboratory Leadership Course(12月3日、東京国際フォーラム)

(2)第三回ISFRCB2022国際シンポジウム(12月5日、Zoomオンライン)

 同企画助成について、理事会の賛同を得た(活動の状況をみて、今後複数年、本学会が助成していく予定である)。
 以上、令和5年度は法人全体として178万円の黒字予算を編成したことが、東山会計幹事より説明された。
 審議の結果、同予算書は理事会で承認され、第45回通常総会に諮られることとなった。

3)DORA署名について
 DORA(研究評価に関するサンフランシスコ宣言)署名については、昨年の定例理事会で生科連がDORA署名することについて、分子生物学会として賛同しており、その際に学会としても前向きに検討する方向で現在に至っている。
 白髭理事長より資料が配付され、日本での署名の状況(10機関・141名 2022.11.14現在)、宣言の内容について説明がなされた。続いて、後藤由季子第23期理事長より追加説明が行われた。
 DORAは研究者評価のあり方についての宣言であり、その宣言には、研究論文の質をはかる代替的な方法として、インパクトファクターのような学術雑誌ベースの数量的指標を用いないようにするという精神性が掲げられている。これ自体が具体的な効果、メリットを生むものではないかもしれないが、おそらく、生物系最大規模の本学会が署名することで『インパクトファクターだけで研究者の人事評価をするべきではない』というメッセージになることが期待される。
 審議の結果、学会としてDORA署名することとなった。

4)次期事務局長について
 先ず本議題において、一旦事務局職員は会場を退出することとした。
 白髭理事長より、福田氏の2023年3月の事務局長退任に伴う、次期事務局長人事について審議したい旨の発言がなされた。候補となる人選であるが、事務局業務の継続性を考慮すると相応しい候補者がいれば内部昇格が望ましいと考え、本年9月、岡田庶務幹事と共に、並木孝憲職員との面談を行った。その後、福田氏にも詳細を確認し、さらに22期執行部に確認を取った。理事長として並木職員を次期事務局長に推薦したいとの案が提出された。自由討論が行われ、その後、候補者本人に入室してもらい、質疑応答が行われた。
 討議の結果、並木孝憲氏を次期(2023年4月~)事務局長に決定した。
 関連して、討議の結果、23期の執行部において、2023年4月からのベースアップを含む職員給与規程の改定検討、さらに職員補充のタイミングの検討など、適切に対応していくこととなった。理事会はそれをサポートしていくことが確認された。
 なお、福田氏は2023年4月以降は時短勤務(*嘱託職員規則に基づく)となるが、2年間、事務局業務をサポート、引き続き、業務に従事してもらうこととなっている。

5)第23期理事会の体制、執行部、幹事、各種委員会委員長/委員について
 後藤由季子第23期理事長より挨拶がなされた。学際的で自由な雰囲気こそが分子生物学会のアイデンティティーであると認識しているが、その文化を継承しながら、さらなる新たな取り組みにも挑戦していきたい。年会中に執行部候補の方々と話し合いの場を持つので、23期の活動方針等をつめていきたいと考えている。
 続いて、役員・幹事・各委員長の名簿(案)が配付され、原案どおりに承認された。各種委員会の委員構成については、年会終了後に各理事に就任依頼を行う予定である。年内にはすべての各種委員会を決定していきたい。

6)第23期監事候補の選任
 白髭第22期理事長から、第23期の監事候補として佐々木裕之会員、塩見美喜子会員が推薦され、承認された。監事については第45回通常総会で承認を得た後、正式選任となる。

7)第23期副理事長の選任
 事務局より副理事長選出に関する細則の説明がなされ、その後、岡田庶務幹事の進行のもと議事が進められた。その後、23期出席理事により投票が行われ、副理事長として、見學美根子氏と塩見春彦氏が選任された。

8)その他

(1)22期から23期への申し送りを兼ねて、22期で退任される各理事より各種のコメントが提出された。

(2)学会のあり方、年会のあり方について、活発な意見交換がなされた。

(3)22期(昨年の定例理事会)で議論された「年会長と理事長の兼務の問題(案件)」について、木村宏22期庶務幹事(23期理事)よりコメントが提出された。本件については、配慮するといった程度の表現で理事会内の申し送りにしたらどうかと考えており、その旨を23期理事会に申し送りたい。

9)白髭理事長より退任の挨拶がなされた。会議の冒頭でも少しふれたが、科学のおかれている厳しい状況のなか、声をあげていくことの大切さ、社会との関わり、若い科学者をどのように育てていくか、等々、抱える課題は多い。23期理事として留任するので、引き続き尽力していきたい。
 

 上記、第22期・第23期 合同理事会の議決および確認事項を明確にするため、この議事録を作成し、議事録署名人はここに記名する。

2022年11月29日

特定非営利活動法人 日本分子生物学会 第22期・第23期 合同理事会

議    長  白 髭 克 彦

議事録署名人  粂   昭 苑

議事録署名人  二 階 堂  愛