日本分子生物学会 会員の皆様へ
さる8月6日に臨時理事会が開催され、分子生物学会会員の年度会費改定についての検討が行われました。提案させていただいたのは「学生の年度会費を、今より抑えることはできないか」ということです。その分を少しずつ学生以外の方々に支えていただかざるを得ないことになりますが、そちらの負担額があまりに大きくなることは望ましくありません。そこで、学会の会費収入総額が均衡を保てる範囲で試算を重ね、正会員と次世代教育会員に年1,000円の負担増をお願いし、学生会員の費用負担は年1,000円とする年度会費の改定案がまとまりました。つまり前二者の年度会費は現在の6,500円から7,500円とし、後者は現在の3,000円から1,000円に変更、ただし新入会の際には入会金1,000円がかかりますので初年度会費を0円として入会金だけ申し受けるというものです。シニア会員の3,000円と賛助会員の一口40,000円は据え置きの案となっています。今回の提案が認められた場合、正会員の年度会費については、2007年度に4,500円から6,500円に改定されて以来、約20年ぶりの改定となります。
分子生物学会の会計年度は10月~翌年9月のサイクルですので、新年度(2026年度)から改定後の年度会費を適用するには今年の9月末までに総会での承認が必要となります。そのため9月25日にオンラインで臨時総会を開催することとしました。総会の成立には正会員・次世代教育会員・シニア会員の過半数の出席(欠席者からの委任状を含む)が必要です。学生会員の総会出席や発言はもちろん歓迎されますが、法人の定款上、議決権はありません。今回の案で会費値上げの対象となっている方々の多くの理解を得て臨時総会を開会できるかがポイントとなります。
今月中に改めて臨時総会の案内と出欠回答のお願いをお送りする予定です。出欠回答をいただく際に、学生会員の皆さんも含め、会員の方々からの会費改定に関するご意見も集められるプラットフォームを用意したいと考えています。皆様にはご協力をお願いいたします。
ちなみに、会員の年度会費とは別に年会参加にかかる年会参加登録費の金額は、年会ごとに年会長や年会組織委員会が検討して決めていますが、そちらでも他で何とかやりくりして学生の負担を少しでも軽くしようとする流れが受け継がれている印象を受けます。分子生物学会年会は、自由な雰囲気で職階や立場に関係なく議論できる伝統が受け継がれています。正会員やシニア会員の方々の中には、学生の頃から分子生物学会の年会に参加してきた方も多くおられるのではないでしょうか。
近年の物価高・円安により、研究費が実質的に目減りしており、また、給与レベルも物価高の上昇に追いついていない状況の中で、正会員・次世代教育会員の年度会費の負担が増えることは望ましいことではないと理解しています。しかしながら、若手研究者の減少が現在大きな問題となっており、分子生物学を含む生命科学も例外ではありません。学生が学会に参加するための負担をできる限り抑えることで、次世代研究者の育成の促進につなげていきたいと考えています。何卒ご理解とご協力いただけるようお願い申し上げます。なお、研究費に関しては科研費の増額運動を生科連などと連携して継続して進めていることを申し添えます。
2025年8月21日
特定非営利活動法人日本分子生物学会 第24期理事長
(東京科学大学 総合研究院 細胞制御工学研究センター)
木村 宏