特定非営利活動法人 日本分子生物学会 第17期新理事会準備会議記録

日 時:2010年10月15日(金)16:30~18:20

場 所:東京国際フォーラム G棟 4階「407」

出席者:第16期
岡田清孝(第16期理事長)、石野史敏(第16期庶務幹事)
第17期
相沢慎一、阿形清和、審良静男、五十嵐和彦、大隅典子、影山龍一郎、小原雄治、小安重夫、白髭克彦、杉本亜砂子、月田早智子、永田恭介、中山敬一、花岡文雄、宮園浩平、柳田充弘、米田悦啓 以上17名(第17期理事)

委任状:石川冬木、上田泰己、貝淵弘三、五條堀 孝、塩見春彦、田中啓二、谷口維紹、鍋島陽一、西田栄介、三浦正幸、水島 昇、山本雅之 以上12名(第17期理事)

欠席者:後藤由季子(第17期理事)

事務局:福田 博(記録)、並木孝憲、丸田夏子

本会議成立について:
石野史敏庶務幹事ならびに事務局より、本会議の開催の位置付け・成立につき、定款(抜粋)の説明がなされた。第17期理事会任期に入る前の準備会議ではあるが、その取り扱いは理事会に準ずることが確認された。17期理事17名が出席し、委任状12名を受理しており、本会議は細則第4章第8条により成立する旨、報告された。

議事録署名人の選任について:
岡田清孝第16期理事長より、議事録署名人として、相沢慎一17期理事と米田悦啓17期理事が指名され、承認された。
 

議 事:
 

1.第17期理事長(任期:2011年1月より2年間)の選出
 議事に先立ち、事務局より理事長選出に関する細則(第2章第3条)の説明が行われた。
 議事進行については、被選挙権のない岡田理事長と石野庶務幹事が引き続き担当することが了承された。岡田理事長より是非フランクに自由に意見を提出してほしいとの要望がなされ、第17期理事による自由討論に入った。提出された意見は以下のようなものであった。

・昨年の事業仕分け以降、政府・行政へ発信する手段としてパブコメ等が重要になってきた。サイエンスをどのように社会へアピールするかを真剣に考えている方を理事長に選びたい。

・昨年12月に開催した緊急フォーラムで、文科省からの出席パネリストより、行政への対応窓口を学会に設置するように求められた。16期理事会執行部の対応・取り組みを継続できる方が望ましいのではないか。

・会員数の推移や財政状態など、分子生物学会の運営はいたって堅調であるが、それとは別に、学会のあり方を本気で考えてくれる方が理事長に相応しい。

・ここ数年、理事会で討議されてきた生化学会との関係を議論することは重要だが、数百名から始まった分子生物学会の生い立ちを無視することはできないだろう。30年前の理学部と医学部は体質が大きく違っていたわけであり、理学部系と医学部系のBiologyも違う。日本の研究環境における特殊性を考慮しなければならないだろう。

・特定非営利活動法人である分子生物学会と、例えば社団法人(公益社団法人・一般社団法人)などの法人とでは、根拠法となる法律そのものが異なるため、そもそも合併はできない。分子生物学会の特定非営利活動法人化は、研究助成事業や非営利事業については法人税の対象にはならないなど、会計的なメリットもあり、当面、現在の法人格で何ら支障はないといえる。

・生化学会が分子生物学会と合併したい理由を聞いてみたい。

・年会の合同開催を希望する会員の声があり、第16期将来計画検討委員会でも、年会のあり方(開催形式)につき検討を重ねてきたが、学会そのものの合併問題にふれたことはない。

・もしも分子生物学会が生化学会と合併したら、おそらく会員数2万人を超すマンモス学会になってしまう。現在の規模がギリギリで、これ以上大きくなると埋没してしまう研究領域の学会もあり合併は避けるべきであろう。Federation化なら検討の余地がある。(分子生物学会はすでにFederation化しているという意見が多数あり)

・10月(生化学会)と12月(分子生物学会)といった近い時期に大きな学術集会(年会)が開催されることは、特に学生にとっては経済的負担が小さくない。避けるべきである。

・分子生物学会と生化学会の両学会に所属する会員は(本年9月末時点の会員データ照合によると)約2,300名であった。15,500名を擁する分子生物学会からすると、その割合は大きくないのではなかろうか。その数字をどう見るか。おそらく40代半ば以上の会員が多いだろう。

・年会を生化学会と合同で開催してほしいとの意見はかなり多いのではないか。

・生化学会とだけ合同で開催するのは理解できない。遺伝学会や細胞生物学会など、重複会員のいる学会は他にもある。

・基本にかえって分子生物学会の将来像をどのように描くかが重要ではないか。

・学会をどうするか、年会をどうするか、そういうことに問題意識のある方に理事長になってほしい。

・生化学会との関係ばかりが議論されているので、本論に戻したい。ちょうど今が過渡期であるとも言えるだろう。あと10年もすればこの手の議論をしなくなると思うが、molecular geneticsから始まった分子生物学会が、目指すべき方向をあらためて示す時期がきているのかもしれない。

・そもそも「分子生物学」に目指すものがあるのだろうか。

・昨年の第32回年会では、分子生物学会の原点とも言える「議論」というテーマを掲げ、多くの参加者から好評を得た。

・自由闊達な雰囲気が分子生物学会の特長でもあり、あまり堅苦しい目標を立てる必要はないのではないか。

・関連領域で活躍する研究者の多くが分子生物学会には入っている。

・発生生物学の分野では発生生物学会には来ないで分子生物学会に来る研究者層がかなりある。

・年会のあり方について、16期の将来計画検討委員会で確認されたことは、分子生物学会のオリジナリティを尊重して、他学会との合同開催は2~3年に1度とし、2年連続しての合同開催は避けることが望ましいというものである。正式には、12月の16期理事会で検討されるものだと理解している。

・生化学会は、財政面などで大会の単独開催の難しさを主張していると聞くが、予算に見合った開催方式を検討するなど、まずは自助努力が必要である。

・ノーベル化学賞を受賞する日本人が多く、たしかに化学は今後ますます重要になるだろう。ただ、生化学会が化学をカバーしているとは考えにくいかも知れない。それとは別に分子生物学会そのものが今後どうしていくかが重要であろう。

・生物科学学会連合(生科連)は機能しているとは言えない。分子生物学会がどのようにコンセンサスを図るかを考えるべきである。

・野武士のような集団が分子生物学会の良いところであり、それが失われてしまうのは困る。

・英国では一人のサイエンスアドバイザーが科学技術予算を決めている。それに対応するために、Society of Biologyが組織され、提言などを行うようになった。(Federation化への例示)

・世界的にみてもパブコメは重要。米国ではロビー活動も大きな力を持っている。

・第12期以来、女性の会長(現制度での理事長)が選出されていない。女性理事長の選出も考慮すべきである。

 活発な意見交換が行われた後、17期理事により投票が行われ、第17期理事長として小原雄治氏が選出された。

2.第17期副理事長の件
 事務局より細則第4条(副理事長の設置)の説明がなされた。小原第17期理事長より、本件については次回の12月理事会(16期17期合同理事会)の議案として、あらためて選任手続きを取りたいとの要望が出された。第17期副理事長の選任(および設置される人数)については、年会前日(12月6日)の理事会で決定することとなった。

3.第16期理事会執行部からの報告事項

 ・「日本分子生物学会 若手研究助成 富沢純一・桂子基金」の発足と若手研究者助成事業について
 富澤純一博士(本学会名誉会員)と故・桂子夫人より、分子生物学に関連する生命科学の基礎的な領域において独創的な研究を行いつつあるが研究費に恵まれない若手研究者の助成を目的として、本学会へ多額(1億5400万円)の私財のご寄付をいただいた旨、岡田理事長より報告がなされた。
 第16期理事会ではこの寄付をありがたくお受けし、基金運営委員会を立ち上げ、本年の年会時に若手助成事業への応募要項を発表できるように準備を進めている。詳細は基金運営委員会にて検討中であるが、対象は原則39歳以下の若手研究者(経歴などで特別な事情がある場合を除く)とし、毎年5名程度の方に1名あたり約300万円を贈呈する予定である。使途については、研究の推進に関係していれば、かなり自由度の大きいものになる予定である。
 「日本分子生物学会 若手研究助成 富澤純一・桂子 基金」基金運営委員会メンバーは次のとおりである(任期:2010.10.1~2014.12.31)。
山本正幸(委員長)、阿形清和、岡田清孝、近藤 滋、塩見美喜子、嶋本伸雄、谷口維紹、任期中の理事長(職指定として17期理事長を委員委嘱)(以上8名)
 現在、規程(若手研究助成制度ならびに基金運営委員会の運営(審査手続き)に関する規程)、募集のお知らせ(原稿案)、申請書式についてを、同委員会で持ち回り審議中であり、次回理事会で、最終確認が出来るように作業を進めている旨、岡田理事長より説明がなされた。
 本事業の概要報告の後、出席者よりいくつかの質問が出され、岡田理事長ならびに事務局より説明が行われた。
 さらに、「本当に将来性があるのに厳しい生活をしている若手を支援するためには、第三者が推薦する形にしないと、例えば〝さきがけ〟に申請するようなタイプの若手研究者が多数この基金に申請してくるのではないか。それでは本来の趣旨と異なってしまうのではないか。」との懸念が複数の理事から出された。「現在、検討中の形式では、本人の申請のみが対象となっているので、推薦方式も可能にする申請様式が必要ではないか。」との意見が出された。本会議にて提出された意見については、阿形清和17期理事(基金運営委員を兼任)が山本正幸委員長に申し送ることとなった。

上記、第17期新理事会準備会議の議決および確認事項を明確にするため、この議事録を作成し、議事録署名人はここに記名押印する。

2010年10月15日

特定非営利活動法人 日本分子生物学会 第17期新理事会準備会議

      
議長岡 田 清 孝
議事録署名人相 沢 慎 一
議事録署名人米 田 悦 啓