第16期理事長挨拶

会員の皆様へ

 昨年9月の理事会において日本分子生物学会の第16期理事長に選任され、今後二年間、本学会の運営を担当することになりました。

 分子生物学に関する研究・教育を推進するための学術研究及び普及啓発活動を行い、我が国におけるライフサイエンスの進歩に寄与することを目的として昭和53年に設立された本学会は、平成20年に創立30周年を迎え、現在の会員数は一万五千名を超えました。倍以上の歴史を誇る学会も多数ありますが、本学会は急速に大きく発展した希有な例といえるでしょう。分子生物学が、生命科学の多くの分野における基盤科学として、これらの分野を統合し発展させる役割を担ってきたことは広く認知されています。本学会の会員諸氏が、近年の生命科学研究の急速な展開に深く関わり、常に中心的な役割を果たして来られたことは、本学会の誇りであります。

 第16期においては、より充実した学会活動を目指して、事業を展開したいと考えています。平成21年度の年会は小原雄治年会長によって横浜で、また平成22年度は谷口維紹年会長の指揮の下神戸でそれぞれ開催されます。年会に続く大きな行事となった春期シンポジウムは、平成21年度は中山建男世話人によって宮崎での開催準備が進められており、平成22年度は大隅典子世話人によって仙台での開催が予定されています。

 学会活動の第二の柱であるGenes to Cells 誌の編集出版業務については、柳田編集長と上村匡編集幹事の努力によって出版社と新たな内容で契約し、学会収支が大幅に改善されました。また、編集業務を見直し、同誌の今後の方向を議論するワーキンググループを発足させることにしました。

 委員会については、研究倫理委員会および男女共同参画委員会はいずれも重要な活動として定着しており、第16期においても継続して活動していただくことにしました。また、新たに学術事業企画委員会を設置して、分子生物学の今後の研究方向に焦点を合わせた企画出版の可否について検討を始めることになりました。

 一方、研究・教育活動に関する最近の社会情勢はますます厳しくなってきており、大学や研究所は資金的余裕を失って内向きになり、研究者コミュニティーに対する目配りが困難になっています。このような状況に対応した本学会のあり方を広く議論する必要があると考え、将来計画検討委員会を設置して学会の将来像について広く検討することにしました。

 本学会の活動に対する皆様のご協力とご支援および議論への参画をお願い致します。

平成21年2月

特定非営利活動法人 日本分子生物学会 第16期理事長
(自然科学研究機構・基礎生物学研究所長)
岡田 清孝