理事長からのメッセージ(2016年5月)

 

 新緑の美しい季節となってきました。年度の始まりに、新たな発展を願う方々も多いのではないでしょうか。残念なことに、熊本を震源とした強い地震が襲い、熊本や大分では今も余震が続いています。被災された方々には心よりお見舞い申しあげます。

 このような時に学会として何をするべきかは悩むところです。学会員が無事で、早く研究の場に戻り、研究を続行できることがまずは肝要であると考えています。そのためには、一時的に研究をする場所の提供や実験材料の保管等のサポートが必要です。学会にできることは、そのようなサポートを申し出ている機関あるいは研究室と被災された方々のリエゾンであろうと考え、学会ホームページに「復興支援ネットワーク掲示板」を立ち上げました。5年前の東北大震災の際にも、同様の掲示板を立ち上げ、成果があったものと思います。また、多数の学会員が所属される機関が寄付を募られていることから、理事会の承認を得て、少額ではありますが寄付をさせて頂きました。今回の震災への対応は、十分ではなかったとしても、5年前に比較して迅速にできました。5年前も執行部の一員として、学会としてどう対応するかの議論をしました。その経験が今回は生かされています。今後も学会として、このような災害に直面した時にどのように対応するべきかは、議論を進めて行く必要があります。

 今回の震災の際もそうですが、学会執行部は理事会の意見を聞きながら学会の運営を行っています。震災への早い対応を望む理事の声や、対応の仕方への意見など多々ありました。学会の震災への対応だけでなく、今後 本学会がどのように運営されるべきかは、理事の中でも様々な意見があります。日本分子生物学会は非常に自由な学会で形式張ったことがきらいな人達の集まりというのが、多くの方が持っていらっしゃる本学会の印象ではないでしょうか。しかし、学会が大きくなり、法人格を持つようになってくると、社会的な責任も出てきますし、学会のあるべき姿を考えざるを得ません。今後の学会の方向性については理事会で議論をしていますが、既に次期理事の選挙の時期になってきています。理事会は、学会員の意見を反映し、理事一人一人の見識に支えられています。会員の皆様には、是非理事選挙に参加され、理事として学会のためひいては日本の学問のために働いて下さる方をお選び下さるようお願いします。

 最後に、震災に遭われた方の早い復帰と研究の進展を願って筆を置きます。

日本分子生物学会
理事長 荒木弘之